「現役最強」のマンガはハンターハンターである。理由はこの2つの「新しさ」で充分だ。というまとめ。
「現役最強」の
私が考える定義は以下の通りです。
- 現在連載中である。
- 見た事がない「新しさ」がある。
- 人気がある(コアとライト両方のユーザーがいる)
①の時点で「おい、既にちょっと違うんじゃないか」
と思ったアナタはH×Hファンですね?
その通りです。
現在連載中というかなんというか、
厳密には休載中であり、
もっと言うと、休載と休載の間に
短期集中連載を挟むという
サンドウィッチスタイルを確立しているのが、
H×Hです。
それはまあ、いいじゃないですか。
言い出すとキリないし。
重要なのは➁と➂です。
これは、どちらかひとつだけでは、
現役最強にはなり得ません。
新しい、見た事がない表現の地平を
切り開きながら、それでいて人気がある。
それこそが最強の条件です。
人気の証明は別にする必要もないと思いますが、
「新しさ」については、ひとつではないので、
いくつか列挙していきます。
(あくまで私見ですが)
①主人公が「弱い」。それも、けっこう弱い。
主人公(ゴン)が弱いんですね。
そういう漫画は数多くあるじゃないか、
という意見もあるとは思います。
ただH×Hの他との違いは、
「今、向き合うべき敵に対して圧倒的に弱い」
ということでしょう。
いずれ戦うであろう強敵が、前フリ的に
出てくるのとは違います。ここが重要です。
ドラゴンボールは、悟空の成長に合わせて、
強キャラが出てきました。
シナリオ上、当たり前の話ですよね。
「今の自分じゃ、ちょっと勝てないくらいの強さ」
じゃないと、物語的な破たんを見ることになるでしょう。
じゃあH×Hはどうやってこの矛盾を
突破しているのか、というと・・・
●決着が必ずしも「相手を倒すこと」ではない。
普通のバトル漫画や能力漫画は、
今対峙している敵を倒すことで決着します。
H×Hはそうではありません。
決着は相手と自分との間の条件的な
折り合いをつける交渉事だったりします。
※ヨークシン編での幻影旅団
もしくは殺し合いではなく、
ゲームだったり、逃亡劇だったりします。
※グリードアイランド編のレイザー。
※アルカ編のキルアファミリー
読んでいる我々は、
相手を倒してもいないのに、
「良かった良かった。一件落着や。」
と思わせられてしまいます。
そして、その相手の圧倒的強さ、
「戦ったら必ずやられる」という事実は、
上記の別の決着に向かう上での、
絶妙な緊張感の演出に役立ってもいます。
シナリオ作り、
そのギミックの巧みさにおいて、
他の漫画とは別次元に達していると言っても、
別に過言ではないと思います。
これがまずひとつ。
➁何を言っているかわからない。
なんだかよくわからないんです。
特に「選挙/アルカ編」以降が顕著なんですが、
この部分こそが、新しさの所以として、
今回最も強く推したい所です。
難しい言葉なんてひとつもありませんが、
「んん?どゆこと??」となります。
意味不明とはちょっと違う。
なんとなくわかる気がする、
いやもう少しで全部わかる気がする。
作者の冨樫先生は、お話を考える時に、
まず人物同士の掛け合いを、
全て紙に書き出すそうです。
実際に漫画に出てくるセリフは、その中のごく一部。
おそらく先生は、その膨大な掛け合いの中で、
意図的にある部分を抜いているのではないかと。
ミスリードを誘うという目的ではなく、
ギリギリの一歩手前で煙に巻く、というか(笑)。
なぜそんな事をするのか、という部分ですが、
もちろん、キャラクター演出のためでしょう。
おかげで、特にパリストンとジンの、
底が全く見えません。
なんかすげえぞこいつら、と。
謎に謎を呼ばせて
見る人を惹きつけるスタイルは、
もしかしたら、エヴァンゲリオンなんかも
同じ手法なのかもしれません。が、
あっちは作者の庵野監督が、あくまで
「衒学的」に見せる為の演出だと明言しています。
衒学的‥頭良さそうに見せること。
H×Hに話を戻しますが、それに伴って、
上記の抜粋したコマを見ればわかるように、
ここ最近のH×Hは、異常なほど文字数が多いです。
これは完全に私見なのですが、
この「文字量が多い画面自体」がひとつの
意図的演出なのではないかと思えてなりません。
別に読まなくてもいい、というか。
不思議なグルーヴ感と緊張感、
なんかすげえぞ感さえ伝わればいいと
思っているような気がします。
書いていて思い出したのですが、
あの聞き取れないくらいの早口で膨大な台詞と、
読めないスピードで消える字幕は
意図的なものだというのをどこかで読みました。
聞き取れなくてもいい、読めなくていい、
グルーヴ感を作るための演出であると。
ハンターハンター最強の理由を伝えようとしたら、
冨樫先生と庵野監督が似ている、
という結論に辿り着いてしまいました(笑)。
ハンターハンター面白いです。
ぜひ未読の方は読んでみてください。
そして早く続きを‥!!